ナナ・ムスクーリというヨーロッパを始め世界中で大変人気の高い女性
歌手がいる。ギリシャ領クレタ島生まれ、450枚のアルバムを発売、全世界でのレコード・CDの売り上げ枚数は2億3000枚以上ともいわれる。15カ国の
言語(ギリシャ語、フランス語、英語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ラテン語、ポルトガル語、日本語など)で約1500曲の
歌を発表しているそうだ。
クラシックから始まり、ジャズ、ポップス、クラシック、ギリシャ音楽からラテン、各国の民謡をすばらしい
歌唱力で
歌う。彼女こそ世界中の音楽のプロが認めるオールラウンドの
歌手。また、政治家として、EU議会でのギリシャ代表も務めた。現在もユニセフの親善大使でもある。
アメリカやヨーロッパの各国の
歌番組に出演し、ほとんどその国の
言語で
歌う。「ナナ・ムスクーリショー」としてメインゲストとして呼ばれることがほとんどだ。ヨーロッパ系の言葉はほとんどしゃべることができる万能とも言える
歌手だ。世界中で数多くの音楽賞をもらい、ゴールド・プラチナディスクを記録している。100年にひとり出るかでないかの
歌手だと思う。
日本には1974年に初来日し、NHKテレビでも
歌った。「赤とんぼ」「シェルブールの雨傘」「イルエストパッセ(想い出の旅立ち)」などの
歌を日本語でレコーディングしている。当時出演した時の映像が何度も再放送されたのを覚えている。
この
歌は、
歌詞は悲しいのに何ともしっとりしていて、とても聴きやすい。難しそうな
歌ではないが、ナナ・ムスクーリの
歌のうまさが光るシャンソンだ。彼女の
歌のうまさを味あうにはお薦めの1曲。
Tous Les Arbres Sont En Fleurs (すべての木々が花盛り)
Tous les arbres sont en fleurs
Et la forêt a ces couleurs que tu aimais
Les pommiers roses sur fond bleu
Ont le parfum des jours heureux
木にはすべて花が咲き
森はあなたが好きな色ばかり
青空を背にリンゴ色のバラ
幸せな日の香りに満ちて
Rien n'a changé
Un peu de neige est restée
La neige que tu enlevais je m'en souviens
En m'éveillant je ne voyais
変わらない何も
少し残った雪
あなたが雪をそっとはらったのを私は覚えている
目覚めてわたしはわかった
Que le printemps qui grandissait
Dans notre jardin
Tu riais comme un enfant
Tu ne faisais jamais semblant
春になった
庭で
子供のようにあなたは笑った
でも、そぶりすら見せなかった
Lorsque tu riais
Quand tes yeux clairs me regardaient
Tu savais lire à travers moi
Chaque pensée
笑ったとき
澄んだ眼で私を見たとき
わたしのこころを読んだ
どんなことを考えていても
Tu étais si fort et pourtant
Je te berçais comme un enfant
Quand tu pleurais
Je t'ai fait du mal bien des fois
あなたはしっかりしていた
わたしが子供のように駄々をこねても
あなたが泣いたとき
わたしは何度もあなたにつらくあたった
Pourtant toute ma vie c'est toi
Que j'aimerai Pierre je t'aime
Je n'avais que toi
Mais tu n'es plus qu'une ombre
Qui dort auprès de moi
わたしの人生のすべてがあなたなの
愛するピエール、愛してる
わたしにはあなたしかいないの
でももう影ではないの
わたしのそばで眠る
Lorsque je rentrais tard parfois
Tu ne t'endormais pas sans moi
Tu m'attendais
Tu m'as parlé toute une nuit
わたしが遅れて帰ってきた時も
あなたは先に眠ることなく
わたしを待っていてくれた
あなたは一晩中わたしに話をしてくれた
De ce que serait notre vie
Si je voulais
Un soir d'orage avant Noël
Tu m'as dit qu'il faisait soleil
わたしたちのくらしはどんなだったのだろう
私が望んでいたのは
クリスマス前の嵐の夜でも
あなたがわたしに話してくれたら晴れわたるような
Et j'y croyais
Je me souviens, tu me disais
Qu'on ne se quitterait jamais
わたしは信じた
あなたが言ったことは覚えている
決して一人にしないと
Et j'y croyais
Pierre je t'aime
Je n'avais que toi
Et tu n'es plus qu'une ombre
Qui dort près de moi
わたしは信じた
ピエール、愛してる
わたしにはあなたしかいないの
でももう影ではないの
わたしのそばで眠る
Pourquoi ces fleurs dans le jardin
Cette nuit bleue illuminée
Par les étoiles?
Je sens que le printemps revient
Mais qu'il ne me sert plus à rien
花はなぜこの庭にあるの
この夜、青く光るのは
星のせい?
春が戻ってきたように感じる
でも、何もないわたしにはもう必要ない
Qu'à me faire mal
Malgré tout, malgré le temps
Je te revois rire et courir
A travers champs
わたしをだめにする
すべてでもなく、時間でもなく
また確かめたいあなたが笑い
野をかけるのを
Ce fût mon dernier vrai printemps
Tu t'es endormi pour longtemps
Pour trop longtemps
Dans un autre monde très loin
それが本当にわたしの最後の春だった
あなたが長い眠りについてしまった
あまりにも長い間
もうひとつの世界はあまりにも遠い
Y a parait-il un jardin plus beau qu'ici
Un grand théâtre où mon amour
Joue et continue chaque jour
D'aimer la vie
ここよりもっと美しい庭があるというの
大劇場、そこで愛する人が
あそび、日々を綴り
生命を愛しむために